1979年初版が出て以来、版を重ね都合31刷の大ロングセラーである。長らく店頭在庫だけであったが、2016年1月に重版されて、現在は簡単に入手できるので、書評を書く。
本書は、1980年に私が始めて下北沢にあった先代の鴨書店に訪れたとき、鴨志田店主から薦められたものである。店主いわく、初心者が最初に読むべき四柱推命書の決定版であるとのこと。本書を読了したら中村文聡先生の書に進め、ということであった。最終到達点はどれかと聞いたら、なんと加藤普品本とのことであった。彼は、意図的に香草社や秀央社の出版物を避けていたのかもしれない。本書がここまでロングセラーを続けられたのは、内容のわかりやすさに他ならない。
あと、読んだらわかると思うが、文章が非常に美しい。極めて高水準な教養を持った人の書く文章である。自分も出版をする人間ではあるが、ここまで高品位な文章はとても書けない。
さて肝心な内容であるが、歌丸先生は非常に文献に目を通され、かつ多くの観命を行った経験により本書が著されたことが判る。私がよく口にする、様々な事項の取捨選択が、著者の目で行われた結果の内容である。採用すべき事項はすべて入り、捨てるべき事項は無視して良いと明記してある。この考えは、初版以来30年以上経過した現在でも色褪せることはない。
もちろん一般書であるので廉価で入手できる。また現在の版は、娘さんの栗原晶子さんが追加改訂したものであるが、オリジナルの気風は損なわれていない。初心者はもちろんのこと、上級者でも読んで得られるところは大である。